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安全な旅行のために 治安情報と対策
会長インタビュー | 現況とトラブル対策 | 日本人旅行者護衛プロジェクト | 最初の一泊の予約は日本で
パスポートは安全な場所に | どんな犯罪が多いのか? | スリ・強盗などに対処するには… | 知能犯の手口
治安の悪さを度々指摘され、日本の旅行者がトラブルに巻き込まれたという報道も流れるなど、スペインの治安についてご心配されている方も多いと思います。スペインサイドでは、皆さんにより安全にご旅行を楽しんでいただけるよう、「日西観光協会」が中心となって現地の行政などに働きかけ、治安対策に取り組んでいます。「日西観光協会」会長は、弊社社長(三上 優)が務めており、現在の治安状況や対策など最新情報をご紹介します。

会長インタビュー

--三上さんは「日西観光協会」の会長でいらっしゃいますが、具体的には「日西観光協会」とはどのような団体なのですか? また、この「日西観光協会」は治安問題にどのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

「日西観光協会」とはホテルオーナー、旅行会社、各自治体の観光局など56の団体が一同となって、スペインへの日本人観光客の増加を目的として、1987年に結成されたものです。近年、スペインでの犯罪増加に伴い、特に治安問題について現地日本大使館と協力して、スペインの関係各所、警察や裁判所、政治家などに働きかけております。その結果 、ここ数年、犯罪は減少傾向にあり、また、2003年4月には法律の改正も行われる運びとなりました。これからも、スペインが今以上に安心して旅行できる国になるよう、働きかけていきたいと思っています。

--スペインでは日本人旅行者を狙ったパスポートの盗難が非常に多いと聞きましたが?

ここ数年のパスポート盗難に関する資料ですが

  • 1999年     676件
  • 2000年     612件
  • 2001年     413件
  • 2002年(1〜9月)  151件

これは、日西観光協会と大使館の働きかけにより危険地域へのパトロール強化を実施した結果ですが、2001年から盗難が非常に減少していることがお分かりだと思います。

--盗難状況をお聞きしたいのですが、具体的にはどの観光地での被害が多いのですか?

実際の被害届を元に分析してみますと被害の多い都市としては

  • マドリードが60%
  • バルセロナが30%
  • アンダルシアが10%

となっております。また、被害の多い地域としてはマドリードでは

  • アトーチャ通りおよび駅周辺
  • プエルタデルソル付近
  • シベーレス広場周辺
  • コロンブス広場や周辺の地下

バルセロナでは

  • ゴシック地区
  • ランブラス通り周辺

が挙げられます。これらはどういう場所かと言うと、観光客も多いのですが、アラブ系などの不法滞在の窃盗グループが多く住む所でもあるのです。

被害の多いのは、曜日では、マドリードでは半数以上が土・日曜日に起こっています。時間帯とすれば、朝7〜8時、夜21時以降、14〜15時の昼食時が多いのです。これは警察によるパトロールが手薄になる時間帯を狙った時と言えるでしょう。

被害に遭われる方と言えば、団体旅行客が1割に対して、個人旅行客が9割を占めています。これは、団体旅行客は現地旅行会社と添乗員からの最新の情報を受け取られているからでしょう。

また、団体旅行客には旅行会社を通じて大使館から「盗難防止へのご注意」というプリントが配られています。個人旅行の方もこのホームページの治安情報を読んでいただき、被害に遭わないように安全な旅行を心がけて、スペインは豊富な文化遺産を持ち、安心して旅行できる素晴らしい国だと思って欲しいですね。

--これまでスペインがドイツやフランスなどに比べ、治安が悪いと言われてきたのは何故ですか?

現行までの問題点を分析すると、今までスペインにおいて犯罪が多発していたことの原因として、

  • 犯罪者の98%がスペイン人ではない、特にモロッコ・アルジェリア・中南米の不法滞在者であるが、外国人法により、国外退去処分が困難であった。
  • 18歳未満の犯罪者に対する処罰が寛容だった。
  • 犯人が逮捕されたとしても、裁判が行われるときには被害者(証人)が各国に戻ってしまっていて、裁判が証人不在で無実となってしまっていた。

ということがあげられます。

--最近これらの問題点に関して、新たな法的対策が取られたと聞きましたが?

そうです、これらの問題点を解決するため、スペイン内務省は以下の法的対策を作成しました。外国人に関する法律改正として

  • 禁固6年以下の不法滞在者は、特別なケースを除いて国外追放を原則とする。
  • 18歳未満には少年法が適用されていたが、16歳未満までと範囲を縮小する。
  • 犯罪の48時間後に簡易裁判を実施し、そのときの証言が15日以内に行う裁判の際の証拠とされる。
  • 再犯および常習犯にはより重い刑を科す。
  • 2002年?2004年にかけて大都市を中心にパトロール警官が2万人増強される。

簡易裁判はすでに試験的に行われており、それが最近の犯罪減少の要因のひとつにもなっています。これは、2003年4月に正式な形となりますが、その為に必要な人員(裁判官や判事など)大都市を中心に約150人補充することが決められています。

--どうもありがとうございました。旅行者自身も正確な新しい情報を得て、トラブルに巻き込まれないよう注意することが大事ですし、それが結局、日本人を狙う犯罪者を減らすことに繋がるのでしょうね。


現況とトラブル対策

_ 日本人旅行者護衛プロジェクト

スペインの大都市、マドリードやバルセロナでは他の地方都市に比べても盗難が多発していますが、これらの人口の多い大都市で犯罪があるのはやむを得ないのことで、パリやローマ、ロンドンでも同じような事件は起きており、特にスペインのこれらの都市に犯罪が多いわけではありません。

被害の8割はスリや泥棒など暴力を伴わない犯罪で、日本人を専門に狙う、モロッコ系の置き引きやスリの窃盗団があり、日本人旅行者の被害件数が他の国よりも多くなっています。

最近は、数年前から実施されている「日西観光協会」とスペイン警察当局による日本人旅行者護衛プロジェクトのおかげで一時期に比べれば随分と被害数が減少しています。ではこれから具体的に被害に遭いにくい旅行、被害にあっても最小限ですませる方法を考えてみたいと思います。


_ 最初の一泊の予約は日本で

日本からの旅行者の大多数はヨーロッパ各国で乗り継いでマドリードやバルセロナに入ります。どの空港に着くにせよ、到着時刻はほとんどの場合が夜ですから、この最初の1泊目は日本で予約をしておきましょう。

最初の1泊目を予約するということは、空港でウロウロすることで泥棒の標的になることが避けられ(両替も乗り継ぎ空港で済ませ)、空港ロビーから早く離れ、タクシー乗り場からまっすぐホテルに向かえす(混んでいるからといって、決してそれ以外の場所からは乗らないこと、白タクやボッタくりのタクシーの場合もあります)。空港から町に出て、貴重品を身につけたまま、行き当たりばったりでぶらぶらと宿探しをするというようなことは絶対に避けなければいけません。

さて、スペインでの滞在ホテルですが、少なくともこの最初のホテルだけはセキュリティのしっかりした、安心感のある3つ星ホテル(できれば4つ星)を確保して下さい。マドリード、バルセロナでの町散策は「必ず手ぶらで」と言う鉄則を守るために、部屋にセーフティボックスを完備したホテルを選び、貴重品をすべてしまってから外出したいものです。

また、危険だ、高い、からと言って、マドリードやバルセロナでの滞在期間を少しでも短くしようとして、到着早々、夜行バスや列車などで他の町へ移動しようと考える方もいるでしょう。しかし、万一、航空機の到着が遅れてバスや列車に間に合わないようなことになると、深夜にすべての荷物を抱えたままホテルを探すという最悪のパターンになってしまいます。ですから、少なくとも最初の1泊は日本で安心できるホテルを予約しておくことをお勧めします。

マドリードやバルセロナの3〜6月、9〜11月は国際会議等が多いので、早めに予約をしないと宿泊先を探すのが困難になるおそれがあります。


_ パスポートは安全な場所に

フランクフルト、アムステルダム、パリなどロンドンを除くEU各国の都市での乗り継ぎの場合、EUシェンゲン協定により、乗り継ぎ空港でパスポート・チェックが行われ、スペインの空港でのパスポート・チェックは通常ありません。

パスポートは確実に安全な場所にしまっておくこと。また荷物を待っている間、あるいは受け取った後も油断せず、常に荷物から目を離さないようにしてください。日本と違って、荷物を置いておけば無くなるというのは世界では常識なのです。

ホテルにチェックインする時も、ホテルのロビー内での置き引きに注意しましょう。チェックイン後、貴重品はすぐに、ホテル室内のセーフティボックス、なければフロントで金庫に保管してもらってください。決して室内のトランクの中に入れて置かないように。4つ星ホテルをお勧めするのはほとんどの部屋にセーフティボックスが完備されているからで、何度も出し入れでき、ホテルのフロントに預ける必要がありません。

部屋にセーフティボックスが無い場合、ホテルのフロントに預かって貰うのには結構手間がかかるのでつい出し入れのあるものは預けずに手元に置いておくという結果になります。


_ どんな犯罪が多いのか?

ではどんな犯罪が多いのでしょうか? 基本的には物取りで、細かい手口は後ほど説明しますが、パターンとすれば2つ、窃盗と強奪です。

被害が多いのは様々な手口を使った窃盗(スリや置き引き、車上荒らし、詐欺など)ですが、被害の大きさから言えば傷害の可能性のある強奪(強盗、引ったくり)でしょう。窃盗は比較的人の混雑した道路や観光地で、強奪は人気の少ない裏通りや地下道、或いは深夜、早朝と言った時間帯に狙われることが多いのはお分かりだと思います。

よく、マドリードやバルセロナなどの大都市を歩く場合、街歩きする際の基本は、「手ぶら」と言われます。もちろん、それがベストでしょうが、写真も撮りたいでしょうし、地図の付いたガイドブックやハンカチとティッシュ、小さな化粧ポーチ位は持ちたいでしょう。

依然、掲示板にバルセロナを観光してきた方から観光の心構えとご自分の取った方法の書き込みがありました。

  • 「布地でできた、軽い安っぽい、小さめのカバンを肩から斜めがけしました。これには、テレカ、地下鉄バス回数券、メモ帳、ペン、20ユーロくらいの札を入れました。小銭は小さい安っぽい物入れにいれて、ズボンポケットに入れました。網状の透けている素材のバッグを別に持ち、そこには、ガイド本、水、ティッシュ、化粧品、カーディガン、デジカメ、折りたたみ帽子など乱雑に突っ込んでいました(笑)。こちらは肩に引っ掛けていることが多かったですね…」

これはとても参考になります。よく観光客の格好をするな!と言いますが、カメラを持って、ガイドブックでも持てば観光客バレバレです。

スペインでは観光客が多いので全然不思議でもありませんし、観光客に見えていいのです。ただ、「この客は狙っても金にならないな」と思わせればいいのです。これで、もしスリに狙われてカバンの中を探られても被害は僅かなモノです。

スリは獲物と狙いを定めると必ず後を付けてきます。もし、怪しい雰囲気の人に後を付けられているように思ったら、近くの店に入ったりして、その人がどんな行動を取るか見ていましょう、狙われてると思ったら、店の中でその人が諦めて立ち去るまで待ちましょう。


_ スリ・強盗などに対処するには…

問題は強奪の方です。けがをすることもあります。しかし、これは被害に遭う場所や時間帯がほぼ決まっていますから、その状況を作り出さなければ良いのです。深夜、早朝に人気のない通りを歩いて数人の男に囲まれた、地下道で羽交い締めにされた、コロン広場でバスから地下鉄に乗り換えるときに後ろから殴られて身ぐるみを剥がされたという話もあります。要するに君子危うきに近寄らず、このような暴力的な被害の多い場所と時間帯は避けることです。

ただ、オートバイなどで信号待ちの女性のバッグを引ったくるというのは人の多い大通りでもあるようですから、信号待ちのときはスリと合わせて注意してください。

  • スリ対策=貴重品は持たない。
  • 強盗対策=人の少ない、危険な場所、時間帯を避ける。

この2点に尽きると思います。

タクシーはスペインでは安全にも欠かせない乗り物ですが、乗降時に引ったくりに遭うこともあるようです。降車時に手に財布を持ったまま、買い物のバックや荷物をタクシーから出すことに気を取られているからです。降車前に必ず財布をしまいましょう。

万一、被害に遭った場合は警察(Policia)に届け出しましょう。警察には日本語の被害届もあるそうです。保険の請求もありますし、被害届が無いために、警察がせっかく捕まえた犯人を検挙できないことが多いそうです。


_ 知能犯の手口

では最後に最近多い、数人組による知能的窃盗犯の手口を少し紹介します。まず。相変らず多い手口が「ケチャップ強盗」というものです。「背中にケチャップ(あるいはアイスクリームなど)が付いてますよ」とあなたの注意をそらし、汚れをふき取る振りをして、或いは後ろを振り向いたその瞬間を狙って財布やカバンを盗むというもの。見知らぬ人に声をかけられたら周りの人にも注意しましょう。

1人が地図を広げながら「道を教えて」と言って近寄り、広げられた地図に気を取られている間に地図の下にあったはずのカバンが消えてしまう。

ホテルのエレベーターにカップルが一緒に乗り込んできて、部屋の鍵を開けたと同時に侵入してくるケースもあります。周囲に人が居る場合は部屋の鍵を開けるのを待ちましょう。

最近多いのが、偽警察手帳を持った偽麻薬捜査官と偽犯人。犯人役に話しかけられ、そこに警官役が現れる。犯人役を取り調べ、次に貴方を取り調べて、所持品を出させるという手口。この“麻薬”が“偽札”になって所持金検査ということもあるようですが、パターンは大体同じです。

旅行される方ご自身もトラブルに巻き込まれないよう、細心の注意を払い、楽しいスペイン旅行の思い出を作ってください。